話せない犬猫の原病巣を発見するりえ先生のブログ

犬猫の行動から、日本の獣医大では未だ授業のない歯科治療のこと。皮ふだけを治すのでは治らない犬猫の皮ふを、真の原病巣を探ることで治すのが好きな獣医師がぼつぼつ書いています。

アジソン病=副腎皮質機能低下症は歳のせいに思われる忍者の病気?!

 

今朝はお休みですが、継続の犬猫の診察が二軒
一匹は猫の尿閉→この子は昨日までは、オムツに膀胱アトニーと思われ、排尿の筋肉が損傷して自分で尿を止めるのも、出すのも難しい状況ダラダラと尿が出ていて、通院で
おしっこを出していましたが、
今日は自分でトイレで出せるようになったようで、膀胱は空っぽ!
食欲もあり!自宅でお薬だけのんで
暫く通院はお休み。
これで一安心!


もう1匹はプードルさんのアジソン病  =副腎皮質機能低下症です。
アジソン病は、忍者のような病気と言われる位、判りづらい病気です。


チョット元気なかったり、時々下痢したり、嘔吐したり。片方だけの症状
もありです。


動物病院で点滴したら、何だか良くなったり。
そんなこと、割りと良くありますよね!


でも、このアジソン!
放置してしまうと、アジソンクリーゼといって、重症化すると、虚脱、ショック症状、徐脈、多飲多尿、震え、けいれん、血便、吐血などの症状が出て、
獣医師がもしかしてアジソンなのかも?!!と疑ってステロイドを打たなければ、そのまま亡くなってしまう怖い病気なのです。
私も、頭の隅には、急変したらアジソンの疑いを置いてある!っという感じですが、何せ忍者なので
他の病気に隠れてしまって疑うのは、難しいんです。


確定診断には、検査センターに出さないといけないので、最低でも1日かかるのですが、それを待つ猶予もなく
急変してしまうのです。

 


このプードルさんは、元々糖尿病でもありました。
太ってませんよ!


f:id:petnomirai:20191111100738j:image

犬の糖尿病は、膵臓の免疫の病気で
小児糖尿病と同じなんです。


このワンちゃん、子犬のパピー躾教室を昔当院でやってた頃からの患者さんなんです!
目が悪くなり私の紹介した眼科の先生が休診日だった!
ということで、他院に行かれ、その日に白内障手術を両目されたそうです。


その後、何となく食欲なくなり、2週間程血糖値のコントロールのこともアドバイスを受けておられたそうなんです。


目が落ち着いたそうなので、当院へ戻ってきてくれました。
緊急性のない白内障手術を当日手術してたのにも、ビックリでしたが。
まぁそれは、ヨシとして。


糖尿病が食欲無いなんて、とっても変なんです!しかも、10年間この子をみてきて、
変な大人しさ。
飼い主さんは、歳取ったのかなぁでしたが、
歳なんかで大人しくなりません!
自分がそうありたいと思っているのもありますが。
基本。人も犬猫も
なんかあるんです!


膵炎!!も考えて治療検査スタート!
膵炎の数値は高くありません。
勿論この検査は、75パーセント位の確率なので否定は出来ないんですが。


あれ〜膵炎じゃないのか???


何とビックリ、電解質
カリウムが高くて、ナトリウムとクロールが低い
カルシウムも数値が高い!!


アジソン??!
検査したら、真性のアジソンでした!


怪しい!と思ったら
ACTH負荷テストという検査をします。
アジソンなら、これでほぼ判明します。


コートロシンという注射を打つ前に
事前に採血して、そのコルチゾールと言う数値を測り
注射して、1時間後にもう一度採血し、
その注射に対する副腎や脳の反応を
見て診断します。


真性のアジソン病は、副腎が自分の免疫で
破壊されたりしたことで、起きます。 
私も30年位(笑)獣医師をやって居ますが
滅多に見付けられません。


でも、医源性のアジソンは皮膚科をやってると時々見つけます。

 

痒い犬猫の飼い主さんは、これさえ塗れば痒みが無くなる!とステロイドの入っている
塗り薬を獣医さんにもらったのと同じなのをネットで購入して、延々と塗り続けていたり。
又は獣医師も、ステロイドを間欠的でも長く続けていたり、塗り薬や点耳薬もですが
ステロイドが大体は入っているので、それを塗るように指示したりされているのも
、転院された犬猫達の中に拝見します。


この犬は、アジソンによるエリスロポエチンの低下で貧血も起こしていたので
エリスロポエチンという、造血剤も注射して
今治療して元気になってきています!


ポイント!!


1つの病気に気を取られて、他の病気を
見つけるのをわすれるな!
です!

お母さんを大好きな、甘えっ子の男の子プードル君


大分元気になってきましたよ!
良かったね!