話せない犬猫の原病巣を発見するりえ先生のブログ

犬猫の行動から、日本の獣医大では未だ授業のない歯科治療のこと。皮ふだけを治すのでは治らない犬猫の皮ふを、真の原病巣を探ることで治すのが好きな獣医師がぼつぼつ書いています。

歯周病になりそうな猫は1歳で判る!?

 

 一歳の頃に来院 されていた猫ちゃんが、
10年ぶりに来院されました。
口を触ると痛そうだと言うことでした。


診ると、あらまぁ
ひどい歯周病


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歯石はパッと見た目、殆どありません!
が、マクロレンズで撮影して拡大すると
歯垢プラークはベッタリついています。


そうなんです、実は歯石の少ない犬猫ほど
歯周病がひどいことが多い感じがします。
だって、外から見える歯石=歯肉縁上歯石は
歯周病の原因にはならない。
死んだ歯周病菌が唾液と石灰化したものだから。
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思い出して下さいね!

麻酔して、歯周ポケットを測定するのに

プローブを入れるとズブズブと

 

歯科レントゲンを撮影すると、

特に上の犬歯は目の下まで、骨が腐っています。


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歯周病の原因は、歯垢プラーク歯周病


歯周病菌は何処から来るか?と言うと
多分母猫の口から伝染するのでは?と思っています。その後舐められた猫からも
伝染するでしょうけれど。
飼い猫さんは、なかなか他の猫には
接しないことが多いですし。


人でも、虫歯も歯周病菌も周りの家族やパートナーさんから感染しますよね!


この猫さん、何と私が1歳の頃に麻酔をかけて、第一回目の口のケアをしていました。

写真は探せませんでしたが、

歯のレントゲンはカルテに入っていました。


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歯の周りの歯根膜も、骨もきれー!

あの頃に戻してあげたいけど、

もう無理です。

腐った骨は、取り除かないと感染が

もっと奥まで行ってしまいます。

ほら、たまに顔に穴が開いた猫の写真とか

ネットで見ませんか?

あれ、殆ど歯周病です。

怪我と間違われてたりします。



歯周病になりそうな猫さんは(犬もだけど)永久歯になる頃には、この子は将来心配だなぁ、
歯周病菌があまり良くない物を貰ってるか、その子の口の免疫力が低いかも?
と早期に感じることがあります。


ワンちゃんは、そのまま定期ケアを続けて下さることが多いのですが、猫の飼い主さんは
まだまだ歯磨きをしなくては!とか
歯肉炎や歯周病?とかは思っておられない方が多く。
一度しても、この飼い主さんのように
歯のケアをされに来なくなる=転院されてしまう方もチラホラおられます。


そして、数年してひょっこり現れた頃には
飼い主さんにも判る口のひどい状況になってしまっていることが、残念ながら多いのです。


ワンちゃんの飼い主さんも、歯のケアを麻酔かけてまでやらなくても、とか麻酔が危険だとか怖いという噂(何故か獣医さんもおっしゃってる方もおられるようですが)


中高年令になり、誰の目にも歯周病がひどいのに、獣医さんに麻酔かけてまで治療しなくても、このまま様子をみたら?と言われて
来院されるという、ええ!今頃!
もっと早めにアドバイスを聞いて下さっていたら、ケアだけで一生を送れたのに
という、再度当院にカムバックされる飼い主さんが開院10年過ぎて、最近はチラホラ おられます。


さて、獣医さんが麻酔かけてまで治療されなくてもとおっしゃるのは、他の文章を
読んでいただけると、理由は少し推察できる
のでは?と思うのですが。


皆さん、子犬仔猫の頃から、せめて
1歳半から2歳のお誕生日迄に
お口を診察にきてみませんか?


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