話せない犬猫の原病巣を発見するりえ先生のブログ

犬猫の行動から、日本の獣医大では未だ授業のない歯科治療のこと。皮ふだけを治すのでは治らない犬猫の皮ふを、真の原病巣を探ることで治すのが好きな獣医師がぼつぼつ書いています。

歯周病で犬歯を抜いたら穴が空いた猫ちゃん


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歯周病で、犬歯の根っこの骨が腐っていた

12歳の猫ちゃん。


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抜いた歯は、根っこまで歯石

歯茎から下の根っこの歯石=歯肉縁下歯石と言うのですが、特徴は血が混じるので

口の見える歯石=歯肉縁上歯石の白っぽいのと違うんです。

見えてない歯茎の下ところに、プラークが歯を伝って骨が腐って、歯石になったのです。

骨を腐らせたのは、プラーク歯周病菌!

ですよ!

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歯を抜いて10日程間をおきました。


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歯肉の炎症は治まったので、歯周病に侵された頭の骨を綺麗にして、

①その穴を埋められるよう歯肉をカット!

②歯肉を破らないように、そ~っと骨から、骨膜剥離子という道具で歯肉を剥がしていきます。

破ると血流悪くて穴を閉じるのに使えなくなりますから。

②炎症でボコボコになつた骨を削って

デンタルバーの種類を変えつつ、スムージングします。この骨をツルっとしてあげることで、上から歯肉を載せても炎症が起きないレベルに仕上げるのが、コツ!

骨形成

③下の上顎の口蓋も骨からはずします。

歯肉を縫い付ける側も、骨からはずして、針が通るように&少しの引っ張りにも動けるようにしておきます。

④歯肉は穴を塞ぐには、まだまだ足りないので、歯肉の裏の筋膜を切って、歯肉が延びやすくします。破らないように!

 

⑤歯肉を溶ける細い糸で、血流阻害しないよう縫います。


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これで終わりーー!

 

あとは、傷を触らないように、エリザベスカラーをします。

 

歯肉を延ばす処置をしましたが、麻酔が覚めると口も動くので、その引っ張りに負けて糸がきれないように、顔を保護します!  

 

歯肉が引っ付く+骨が再生するのに、3週間!

 

どうか元気になりますよーに!