話せない犬猫の原病巣を発見するりえ先生のブログ

犬猫の行動から、日本の獣医大では未だ授業のない歯科治療のこと。皮ふだけを治すのでは治らない犬猫の皮ふを、真の原病巣を探ることで治すのが好きな獣医師がぼつぼつ書いています。

アトピーの唯一の根治療法は?!

 

獣医アトピーアレルギー免疫学会に入って10年。

この会で、免疫細胞のことを色々学ぶと、全ての病気は免疫次第だ!と判ってきました。

 

さて、犬のアトピーの唯一の根治治療と言われているのが

アレルミューン!という注射です。

所謂減感作療法の注射です。

 

これは、実はアトピーに効くだけでは無いとても素晴らしくて、凄い治療薬だ!というのは勉強してみればみるほど感度しました。

人の減感作療法のように、副作用もまず起きない!

当院に来られて、痒かった皮ふが改善した、元盲導犬のニース君のお母様が

「アレルミューンのおかげで、随分皮調子が良くなりました!」と先日言って下さいました。

この本に出ている、「おかえり私の子供達」のニース君です。当院のことも書いて下さっています。


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このアレルミューン。


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勿論最初からは使いませんでした。

全ての感染源

私の皮ふアレルギー、耳のセミナーに来ていた、ペットマッサージの先生がこんな盲導犬が居るからきっとこれは耳が悪い気がします!とご紹介していただいたのがきっかけです。


子犬の頃から、ニースちゃんは
アレルギーと言われ
外用、内用のステロイドと抗生剤を
ずっと続けておられたそうです。
盲導犬も皮ふがあまりにもひどくて
少し早くリタイアされたのだそうです。
除去食もきちんと実施されておられました。


全部のアレルギーを調べ、除去食も私が検査し直し、選び直して、スキンケアもお家で、頑張っていただきました。
「大変だったけれど、毎週みるみる皮ふが綺麗になっていったので、頑張れました」とおっしゃって下さいました。
小口さんご夫婦が、全面的に信頼し協力して下さったので、皮ふも耳も結局2ヶ月間で、ほぼ決着がつきました。


○アレルギー検査センターで、アトピーや食物アレルギーの検査
○皮ふや耳の細菌を調べ、それに効く薬を、検査センターで調べる
○耳のオトスコープ=内視鏡を実施する為、毎週麻酔をかけて、耳の治療

歯周病の治療も、歯の感染から皮ふに

悪影響を及ぼすので、しっかり治療しました!←歯も折れてました!


皮ふや耳の治療は耳の細菌とカビの増殖速度との戦いなので、麻酔をかけて耳のオトスコープ治療を毎週繰り返しました。

皮ふや耳、歯周病からの菌の感染源をキレイにしてから

アレルミューンの投与をスタートしました!


今では、除去食も止め
盲導犬の元ユーザーさんからも
こんなにフカフカの綺麗な皮ふになって嬉しいと言ってもらえたんですよ!と
嬉しいご報告もして下さいます。

 

アレルギーだから、アレルミューンやインターフェロンを打つだけなら、免疫は上がらないんです。

因みに犬インターフェロンは私は効果ないと思うので、過去一回だけ使ったことありますが、速止めちゃいました。

アレルミューンは素晴らしいなぁと思います。

さて、私がアレルミューンの勉強してた時の、ざっくりしたまとめを、Evernoteに残してたので、お好きな方は長いですが見てみて下さい(笑)

 

https://www.genkansa.jp/abou


アジュバンド療法


IgE最低2種類以上のクローン=(ポリクローナル抗体使う)+IgG


アルミューン=犬のダ二アレルゲンのDerf2アレルゲン+プルラン(多糖類)で覆った抗原(IgEの結合部位を覆う)→これを身体に大量接種出来る。→IgEがひっつけない→アナフィラキシーショックがおきづらい→でもアレルミューンを異物としみなし→インターフェロンガンマ(IFNγ)出す→新しいIgG産生を刺激↑↑(即効性)→肥満細胞の脱顆粒を防ぐ。

このことにより痒みの軽減をさせる。


肥満細胞の上のFCγRllbく結合するIgGを新規に産生→制御性Т細胞(Th3)を出させて→ 根治治療になる可能性あり


制御性Т細胞(Th3  →外来抗原に対する制御性Т細胞=cd25(TGF2β―で抑制する)


制御性Т細胞(Treg)自己抗原に対する制御性Т細胞→他の複数のアレルゲンを抑制する(根治性)

 

こんな風に、制御性T細胞を出させることで、今話題のサイトカインストームを抑えこみ、アレルギー全般のみならず、身体全体の免疫過剰反応を抑えこんでくれるようになるのです。

 

コロナのこの世の中、人にもこんな注射が有ればなぁと羨ましくなる治療薬なのです。

 

日本の犬に生まれてよかったね!