話せない犬猫の原病巣を発見するりえ先生のブログ

犬猫の行動から、日本の獣医大では未だ授業のない歯科治療のこと。皮ふだけを治すのでは治らない犬猫の皮ふを、真の原病巣を探ることで治すのが好きな獣医師がぼつぼつ書いています。

歯石の色?!

歯のお問い合わせに、歯石の色がオレンジ色なんです!とか黒いのですが?

などが有ります。

皆さんこのようなお問い合わせをするということはやはりお家のワンちゃんや猫ちゃんの歯周病が気になって、どうしようと思っておられるのではないでしょうか?

歯周病の原因はプラーク歯周病の細菌

で歯石が原因では基本ないのでよく覚えておいてください。

プラークというのは菌の塊という意味です。

 

もちろんプラークを放置していたからお口の唾液と反応して歯石という意思の状態に変化しています。

歯石の上や下に生きている菌=プラークがたくさんあるのが問題なのです。

でも心配ですよね。

 

 

歯石には2種類あって、


f:id:petnomirai:20201214203451j:image

 

 

①外から見える歯石=歯肉縁上歯石といいます。

色は白からオレンジっぽいのもあります。

 

歯石やその上のプラークに触れていると、歯肉が赤くなります。

プラークいわゆる最近はうんちの10倍以上の菌があると言われているので、お尻がうんちに触れていると赤くなってくるように、歯茎もプラーク=菌に触れていると赤くなってきてしまいます。

 

歯周病を悪化させやすいのが

②歯肉縁下歯石=歯茎の下の歯石です。

色は黒っぽい感じの歯石です。

皆さんの目に触れることはほとんどありません。

歯周病がひどくなって、歯茎が下がってきたりするとそれが見えることはあります。

 

これは、人だとプロの歯科医師や歯科衛生士さんしか治療できない、特殊な作業が必要です。

獣医師は大学ではしかの授業がありませんのでそのトレーニングを卒業した時点では誰も習っていないと思っていただいたら良いかと思います。

 

盲点は、そのことを獣医師本人が知らない可能性があることです。

実際私は、卒業してアメリカの獣医専門医の先生にそれを習うまで、全然知りませんでした。

最近でも、他の先生達に歯石取りだけでは

いけないとは思うんだけどねーと

聞かれることは、良くあります。

 

多分その指摘は歯肉縁上歯石をさしていらっしゃるんだと思います。

 

知り合いの獣医さんからの紹介で、口がどうも臭うので紹介しましたと、ワンちゃんやネコちゃんもおられます。

「歯石を取ったのになんでまた麻酔をかけてみてもらわないといけないんですか?」

と聞かれます。

歯石を取ったことと、歯周病になっていたかどうかを調べることは別ですので

と言っても、中々飼い主さんは納得しづらいようです。

 

犬や猫の歯周病の治療として一番大切なことは、外から見えている歯石が歯周病を治療する目安でないし、歯周病の治療にはなっていない!

ということを飼い主さんには知っていただきたいと思います。

 

もっとはっきり書けば、

歯周病の診断には

 

◯歯周ポケットを測定する

○歯科レントゲンを撮影し読影する

という最低限の基礎知識が必要なのです。

 

基礎知識や基礎の道具も無しに、見えている歯石を取りましょう!

麻酔をかけてやるから、しっかり取れますと

見えている歯石取りをするから

飼い主さんは、安心されてしまい

治療のチャンスを逃してしまうのです。

 

獣医師の皆さん、

ご自分が歯科の基礎知識や歯科レントゲンも無い状態で歯石除去をされるのを

やめてみませんか?

無麻酔の歯石除去をされる、ペット関係の方や歯科衛生士さんは、きっとそんな獣医師の歯石取りの状況をみて、

ご自分ならもっと上手に丁寧に歯石除去クリーニングができる!と思われているのかも

知れないなと思っています。

 

歯周病は歯の周りの歯肉と骨の病気です。

診断や治療は、キッチリ診断が出来たうえで

抜歯だけでない、色々な治療が可能な病気です。

 

犬猫だけ、歯石の色を飼い主さんが色々聞いて来られるのは

麻酔が怖い

だけてなく、歯石取りだけしても

ちゃんとした説明もなく

悪くなっていった犬猫達をみてきたからかもしれません。

 

人間でも歯医者さんに行くのは歯磨きをしていて外から見えている歯石がなくても、基本6ヶ月に1回は歯周病のチェックに行かれるのではないかと思います。

 

当院の犬猫達も、歯磨き出来てても出来てなくても、人と同じような検査、ケア、治療を2歳位から毎年やって一生を送ってきました。

 

麻酔をそんなにかけて大丈夫ですか?

と聞かれるのですが、

歯肉縁下歯石などは、ルートプレーニングで除去しますが、届かなくなると

歯肉を切ってオープンキュレタージなども必要です。

 

当院以外の飼い主さんは、

早くて5歳、一般的には8歳から

15歳が初診で、もう何処かの歯がグラグラなので来院されるのです。

グラグラするのは、根が一本の前歯がほとんど!

グラグラしない、奥歯や犬歯の歯周病の方が、目や鼻、顎の骨折に関与しますので

前歯がグラグラレベルだと

他の歯は悪くなってるだろなぁ?!と

私は即座に想像してしまっています。

 

高齢になって、まとめて治療しても

元に戻らなくなつてしまっていることが

ほとんど

 

私は歯科を本格的に勉強しだして25年

当院の犬猫達は、若い頃から、コツコツケアして一生を終えて、もう2代目さんも来院しています。

麻酔は身体に悪いなら、皆死んでるよねー

って言いつつ、毎日かけて歯科治療をしています。

我が犬猫達も、飼い主さんの隙間みてかけて治療しています。

歯石の色に悩む飼い主さんを

いつそのことは、実際悩むポイントでも

何でもないよ!

と判ってもらえるのかな?

 

獣医さんが変わらないと!

それか農水省が基礎を学んでない獣医師には歯科治療を禁止しないと、いつまでも

この状態は続くのでは?と思います。

 

人なら普通の医師が歯科治療をするなんて絶対にありえないと思う

今日この頃です。