話せない犬猫の原病巣を発見するりえ先生のブログ

犬猫の行動から、日本の獣医大では未だ授業のない歯科治療のこと。皮ふだけを治すのでは治らない犬猫の皮ふを、真の原病巣を探ることで治すのが好きな獣医師がぼつぼつ書いています。

勝手に書評シリーズ 猫と住まいの解剖図鑑その1

「猫と住まいの解剖図鑑」感想その1

いしまる あきこ著

今泉 忠明 監修 の本を昨年買いました。



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いしまるあきこさんは、一級建築士さん

だそうで、私今病院の二階に我が家の猫の遊び場を壁に作ってあげようと目論んでいるので、参考にしようと買いました。

読ませていただくと石丸さんは自ら保護した5匹の猫たちと平井猫の家というところで暮らしておられるそうです。

また保護猫活動も通じ100匹を超える猫達とご縁があるということで、猫との関わり方は半端のない建築士さんということでとても参考になりました。

私は実は子供のころからDIYが大好きで、

幼稚園の頃から自分でブランコを作ったり、ひよこ小屋を作ったり、はたまた船を作って川から海へ出ようと目論んだのですが、流石に下手過ぎて沈没し、計画は頓挫したこともあります。(笑)

今も壁を貼ったり、棚を作ったり柵を作ったり、ペンキを塗るのも実は大好きです。

この本では建築士さんならではの細かい猫からの目線の高さ、猫トイレの設置場所や大きさ等の、沢山の猫と暮らして来られた中での素晴らしい工夫を、具体的に書いておられ

獣医師の目からも感心しました。

 

この中でこの5匹の猫たちが途中仲が悪くなり揉めに揉めた時に精神安定剤を動物病院でもらい飲ますようになりとても効果があったと書いてくださいました。

私も猫の問題行動カウンセリングを約25年前位から行っております。

猫の心療内科のようなものです。

猫にも精神安定剤があるのですか?

とよく聞かれますが、実はいろいろ使います。

ただし心療内科病気の病気を猫に疑う前に、

猫は自分で病気を言えないため体の病気がないかを調べるのが先決です。

例えば、猫が困った場所でおしっこをするならば腎臓や泌尿器系に異常がないか血液検査や尿検査が必須です。

私が経験した例ですと二十歳の猫ちゃんがもう何年もあちこちでおしっこをするので繋いで飼っているという飼い主さんのお話を、偶々飼い主さんだけが、ノミの薬か何かを買いに来られた時にふと耳にしました。

飼い主さんは高齢の為にボケたと思っていらっしゃったみたいです。

でも尿検査をするとひどい膀胱炎でした。

膀胱炎だと思うと真っ赤な尿が出るとか、詰まると思われる方もいるようです。

しかし、特に雌猫はほとんどオスのように

尿が詰まるということは、尿道が太いこともあり、詰まることは滅多にほぼありません。

その猫の尿は感染が酷く、黄色の濃い状態になってしまっていました。

その猫ちゃんは幸いに抗生物質ですぐ良くなってくれました。

そんな可哀想なメス猫さんの例は私も沢山経験があります。

思い込みにご注意です。

体に異常がない場合は心療内科領域のお薬を使います。


心療内科の薬は、実はココロでは無く脳に働くお薬です。

心の問題は実は脳のホルモンなどによって作用されているからです。

もちろん薬を使うだけじゃなく飼い主さんに猫への対応や猫同士の関係を変えるようなお家の工夫ということもしていただかないといけませんが。

そのためには、いしまるさんも書いておられるように家の工夫はとても大切です。

猫と暮らしておられる方はこの本を参考に家を工夫してみられてはどうでしょうか。

皆さんも素人判断でどんな悩みがあるか一人で悩まないで、問題行動カウンセリングをしている獣医師を探して相談されてみることをお勧めします。

当院では最初約1時間ぐらいの飼い主さんとのカウンセリングさせていただきます。

 

犬の場合は 来院していただき、待合室で行動を見ることがほとんどですが、

猫の場合は連れてくることも困難な場合が多いため飼い主さんに、困ったシーンや日々の猫達の食事風景等の暮らしを、簡潔にビデオ録画していただいたのを拝見させていただいたりすることも多くあります。

 

客観的に見ることによって見える猫たちの関係性もわかることがありますので、ご家族だけで悩まないでくださいね!

その1