話せない犬猫の原病巣を発見するりえ先生のブログ

犬猫の行動から、日本の獣医大では未だ授業のない歯科治療のこと。皮ふだけを治すのでは治らない犬猫の皮ふを、真の原病巣を探ることで治すのが好きな獣医師がぼつぼつ書いています。

グラグラした歯を無麻酔で抜いただけで大丈夫?

先日こんなご質問があったんです

その人は猫ちゃんの飼い主さんでした.

ぐらぐらしてる歯が抜けそうなんですって.

 

で動物病院の先生が今度麻酔なしで抜いてあげるからって言われたんですって。

そんなことをしても大丈夫なんでしょうか?という質問でした。

ちょうどその時、お知り合いの歯医者さんも一緒にこのお話を聞いてたんです。

いや歯抜けたままじゃ歯周病治らないですよと。 

そのぐらぐらしてる歯の根のついていた骨などを掻把(菌に感染した部分を取り除くこと)しないと歯周病は治らないですよね!ってのが私の答えです。

で歯に関して言えば特にですけど、どうしても獣医さんの見立てっていうのが全然違うんです。私は1万頭以上20年以上にわたって犬猫の歯科をやってきた勉強もさせて来て頂いたという経験から言わせていただくと、歯周病って抜けたから終わりではないんです。

 

その歯医者さんのおっしゃるように歯の根っこに菌が入って骨が腐ったから、その歯がグラグラになったんです。

グラグラになった歯が抜けて上に歯茎ができたから菌はいなくなると思いますか?

ちょっと無理なんですね。そうすると何をするべきかと言ったら、今回その歯を支えていた骨とか顎の骨や周りの歯茎とか組織には歯周病菌が残っているわけです。

特に歯周病菌っていうのは空気が嫌いな菌ですから、歯がなくなり上から歯茎で蓋をされると余計中で菌が喜んでしまって増えやすいのです。

そこらの感染のある組織を取り除いて人間の場合はそのまま歯肉(歯茎)を縫わ,

ないままオープンってこともあるようなのですけど。

私は犬猫の場合は基本的には歯肉を縫います。

そっちの方が歯肉の伸びる速度の方が、骨が出来る速度よりも早いもんですから。

骨ができる前に歯肉が延びてきて歯が抜けた穴の中に入っちゃうぐらいの大穴を開くこと多いし、歯が抜けたあとに骨をきちんと作る意味でも、歯がぬけたり 抜いた上で、抜けた穴の中をきれいにすることが歯周病の感染を治療するのにすごく大事なんです。

 

ですから私だったら麻酔をかけて、抜いた根の周りの組織の菌で腐った部位を取り除いて綺麗にして他に歯周病がないかとか歯肉炎や歯周炎がないかをプロ-ブで確認したり歯科レントゲンで確認しましょう!と飼い主さんにお伝えすると思います。

ご参考になれば幸いです!

どうぞお大事に