話せない犬猫の原病巣を発見するりえ先生のブログ

犬猫の行動から、日本の獣医大では未だ授業のない歯科治療のこと。皮ふだけを治すのでは治らない犬猫の皮ふを、真の原病巣を探ることで治すのが好きな獣医師がぼつぼつ書いています。

猫の歯周病は骨が腫れる!


猫の犬歯が歯周病になると、

歯周病は骨の細菌感染なのと、猫の歯の植わっている歯槽骨は、犬や人より薄い為

歯周病になると骨が腫れて、犬歯が押し出されて伸びた感じになります。

 


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最近、鼻から血が出てなめていたと、飼い主さんがおっしゃるので、歯の内側に歯周ポケット測定のプローブを入れると

1センチ以上入りました

この猫は、目の空いてない頃から診察させていただいていて、今糖尿病治療でインシュリンも打ってもらっていました。

ちょっと歯のケアが1年以上空いてしまい

4ヶ月前位前に、歯科ケアで異常を発見し

飼い主さんとの予定をあわせて

歯の処置を決めていました。

これ位だと、普通に食べているので

飼い主さんには、外からでは

わからないと思います。

獣医師でもプローブいれたり、歯科レントゲン撮影しないと、外から見るだけでは

診断は難しいと思います。

これは人の歯医者さんも同じですね! 

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猫の歯周病は、特に犬歯の部分は

歯周病でやられる骨が薄いので、

○骨が膨らむことがおおい為、歯肉も腫れた感じ

○それに伴い、犬歯が押し出される=挺出テイシュツという、状態になることが多いです

 


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レントゲン撮影では、歯の周りの骨が溶けて無くなっていて、歯の根の一部も腐って溶けていますね

猫の場合は、

歯肉を切って、骨を削って歯を抜くようにしています。

普通は歯を抜くエレベーターを、歯の縁に

沿っていれて、骨と外して抜くのですが

 

猫は歯も、骨も弱いのでムリすると、両方折れたり、割れたりと

大変なことになることが想定されるので

骨を削って歯を抜ぬことを私はよくやります。

歯周病で感染した骨の根の辺りや、炎症で膨らんで増生した、歯が生えていた骨も、きれいに削ってしまわないと

歯肉でその穴を覆って縫えないのです。

 

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これは、猫の頭のモデルに抜いた歯をあててみました。

深いでしょ?

簡単には抜けないし、このまま骨が腐って顔に穴があいて、膿がでるまで

飼い主さんには気がついて貰えないことになるのが、この構造からの理由です。
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抜いて、腐った骨を削って

中の歯周病で出来た膿や組織をガンガン洗浄して

歯肉を傷んだ場所をトリミングして

歯肉を延びるように歯肉フラップを作って

溶ける糸で縫いました。


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中で骨が出来るまで、約3週間エリザベスカラーをして、糸が切れないように

柔らかいフードを食べて貰います!

 

口の動きについていけるように、歯肉フラップを作って、歯肉を痛めないように縫うのが

1番大変で、気をつけているところです!

 

今この子は、オペして一週間たち、

痛くて涙出ていたらしいですが、涙が出なくなったそうです。

鼻血は微量だったからなめてしまって

写真撮影できてないのですが

可哀想でしたが、コレで他の歯は大丈夫なので歯磨きは可能な範囲でやっていただき、半年に一回位麻酔して歯のケアを人と同じようにしていく予定です!

 

猫の歯の治療最高年齢は、私は21歳です。

この子もずっとケアできるよう

祈ってます!