話せない犬猫の原病巣を発見するりえ先生のブログ

犬猫の行動から、日本の獣医大では未だ授業のない歯科治療のこと。皮ふだけを治すのでは治らない犬猫の皮ふを、真の原病巣を探ることで治すのが好きな獣医師がぼつぼつ書いています。

鼻が出てる猫の飼い主さん必見!

 

https://youtu.be/H4ytHeSX3fU

 

この子猫ちゃんは、犬を飼っていた

飼い主さんが、駐車場で倒れていたのを拾ったから預かって欲しいと私の病院で入院させていた子猫でした。

鼻水が出て頭もちょっと斜めを向いていました。食欲もあまりなく、猫の鼻風邪疑って抗生物質を使ったり、インターフェロンを使ったり、点滴をしたり流動食を食べさせてあげたりしていました。

飼い主さんからはこんなに弱っていたら安楽死も考えた方がいいのかしらという状態でした。


その仔猫が、預かって数日目、急にぐったりして死にそうになってしまいました。


まだ500 G あるかないかの子猫ちゃん。咄嗟に私の頭の中には脳炎の勉強会で、「猫は鼻から中耳炎になって農園になることがあるから気楽にステロイドを使わないように」という、先生の言葉が頭に浮かびました。気管チューブも入らないぐらい小さな猫だったのですが、ぐったりしてしまって動かず、気管チューブを入れて究明するのも難しく、とっさに耳を診てみよう!とビデオオトスコープを耳に入れて見てみました。

するとなんと子猫の片方の鼓膜が完全に破れて浸出液が出ていたのです。

とっさに生理食塩液を入れて洗浄してみました。

倒れた時に、飼い主さんにもうだめかもしれないととっさに電話したのですが、その飼い主さんが慌てて車で30分かけて駆けつけた時にはその子猫さんは何もなかったようにご飯をバクバク食べるようになっていたのです。

それから、耳の菌を検査センターに出し抗生物質を決め、約一週間おきに水をかけてビデオとスコープで破れた耳を洗浄していきました。


途中耳の奥の状態を確認するためマイクロビデオとスコープで検査してもらったところ中耳炎が診断されました。

合計5回洗浄したのですが、途中中耳骨という耳の骨も奥から浮いてきました。

その骨が中耳骨であったという診断は麻布大学の解剖学研究室で診断してもらいました。

とても元気になりふらつくこともなくまっすぐ歩けるようになったため、その子猫はもらわれていきました。

生後5ヶ月になり発情期を迎え去勢をして欲しいということで再度麻酔をかけ耳のビデオとスコープで検査しました。

すると鼓膜の破れた方の中耳のこしつほうと言われる部分は、感染のない、ツルンとした感染の見られない

良い状態になりました。

それから、当院では鼻の出ている仔猫は、マイクロCTで検査してもらうように飼い主さんにお願いすると、

中耳炎になっている猫も数匹みつかり、ビデオオトスコープで鼓膜を破り洗浄するようになりました。

昔から拾った子猫さんが急変してなくなるという経験をしてきましたが、このように鼻風邪を引いている子は中耳炎を起こし脳炎起こし亡くなることも多いのではないかという推察をしております。


それ以後、当院では鼻の出ている猫は

歯の治療も兼ねて麻酔をし、鼻洗浄やビデオオトスコープで検査を

して、早期に鼓膜の破れた猫を発見し、中耳炎の早期発見や脳炎を防ぐようにしています。

高齢猫の夜鳴き、クルクル回る猫は

それ、認知症でなくて

中耳炎や耳から脳炎を起こしてる例も多数見つかっていて、ビデオオトスコープで助かった例もたくさんあります


皆さんも、鼻が時々出る猫さんは、

鼻洗浄と

ビデオオトスコープ検査をしてみることをオススメします!